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　覚醒陽光は、簡単な催眠を解く白本術。強い暗示力を持つエリザの暗示には効果がないだろうが、男がかけた洗脳は解けたようで、我に返った人たちが叫びながらばらばらに走って逃げていく。もう少し時間を稼ぐことができれば、全員逃げられるだろう。
「ちくしょう、やられた！」
　男が下打ちと共に言う。トラックのほうを振り返ると、頼斗が真っ赤な杖を具現した状態で待ち構えている。もちろん、反対側には慈愛乃闘神と羽根ペンを持った想楽がいる。男は細い棒――よく見ると、それは音楽の指揮棒だ――を持ったまま何も行動が取れなくなっていた。
　洗脳の解けた人が逃げていく足音も、りぼん達が奏でるすさまじい戦闘効果音も、３人の緊迫した空気には響かない。
　次第に天気が悪化してくる。ぽつり、想楽の鼻の頭に雨粒が落ちた。