WHITE BOOK
公園に入ると、音楽が聞こえてきた。よく見るとそれは先頭に立つ男から発せられている。男はオカリナを吹いているようだった。
「いい音色ですねぇ。」
感心したようにセイファーが言う。そして男に向かって数歩歩き――足を止める。それから想楽達のほうを振り返り、真剣な顔で静かに告げた。
「でもこの音色、危ないです。」
正直意味が分からず、3人は首をかしげる。
「危ないって?」
音楽が遠ざかっていき、公園を出て行く。人の波も同じく男について、想楽達が入ってきたほうの反対側にある出口から公園を出て行った。りぼんはその人達の行方を目で追っている。
「あの人達、洗脳されています。ぼくも危うくされかけました。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ