WHITE BOOK
今日はエランド達で話し合いがあるため、アリスもソアラもトレーニングホールに付き添えないということで、代わりに頼斗が来てくれることになった。いつもはバスで行っていたが、頼斗が車を運転できるので、共団の車で行くことになる。
空はどんよりと曇っていて、今にも雨が降り出しそうだ。
他愛の無い話をしながらトレーニングホールへ向かう。その途中、ちょうど嵐の入院する病院を過ぎたところにある公園に人だかりを見つけた。
「あれ、何だろう?」
想楽が指差すと、他の3人も気付いたようでそちらを向いた。頼斗も邪魔にならないよう、路肩に車を停める。
「公園で集まりがあるとは聞いてないですけどね。道芸でもやっているんでしょうか?」
遠くで見ていると、急に人の塊が動き始める。その先頭には、緑色の髪をした人が立っていた。
「行ってみる?」
「そうですね。」
エンジンを止めて、車を降りる。しかし、りぼんがなかなか降りてこない。
「どうしたんですか、りぼんさん?」
人の波を見据えたままのりぼんが、一言。
「――事件の香りがする。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ