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アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
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WHITE BOOK

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 しばらくして体がだいぶ楽になったので、起き上がった。
 正面にクリーム色の壁、左からきれいに整理された机と本棚、三面鏡の鏡台、飾りはないが高級そうなチェストとクローゼットが並んでいる。左を向けば出窓に飾られたピンク色の花。右側にはオレンジ色のカバーをかけたラブソファーとそれにあわせたローテーブル、そしてその上に置かれたあの白い本。
 とりあえずこの部屋には、想楽の他に誰もいないようだ。

 ベッドから降りて、足下にそろえてあった黒いローファーを履いた。服装は変わらず、制服のままだ。
 そして、本に説明を求めるべく、ソファーテーブルに近付き、つぶやいた。

「ここが、あんたの世界?」

 はたから見るとかなり怪しい行動なのだが、本人はいたって真面目である。
 問いかけてから本を開けば、そこに本からの答えが書いてあった。
《間違いなく、我々の世界「epoch」です。エポック、と発音します。》
 間違いなく、と言われても世界の名前を教わっても、いまだに半信半疑な想楽。
 この部屋にあるものは、この本を除いて、想楽の世界にも存在しておかしくないはずだ。花はさほど詳しくないため、花瓶の中のそれが存在していたかは定かでないのだが。

 人に会えば、何か分かるかも。

 このまま本と話をしていてもらちがあかない。そう判断した想楽は、本を抱えて窓の向かい側にある扉を開けた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ