WHITE BOOK
想楽は自分によく似た像を見上げて、考える。
遠くを見つめる彼女。しかしその瞳には何も映していないようにも見える。彼女は何を思って、石碑に「ありがとう」と刻んだのだろうか。しかも、セイファーの世界に存在する文字を使って――
「あ、もしかしたら世界って繋がってるんじゃないかな?ソアラ達が白本を持ってくることも出来たし、私達がここに来ることも出来たんだから。だとしたら、世界に共通点があったとしてもおかしくないよね?」
「それもそっかぁ。」
ソアラが頭の後ろで手を組んだ。
「リンダ様は全部の世界を知ってる可能性もあるのか。なら、想楽の世界とかりぼんちゃんの世界にあるものも、案外あったりするのかもね。」
病院とはどこの世界でもそうなのだろう、真っ白な壁と塵一つない廊下でできている。
受付で面会の許可を得た3人は、嵐がいる病室に向かっていた。3階建ての2階、源力科の11号室にいるらしい。源力科は文字通り源力に関する症状を扱っているようで、epochでは最も重要といえる科とのことだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ