WHITE BOOK
「ありがとう、かぁ。」
腕を組んで、ソアラが考える。
「感謝、と訳されているのは、とりあえず間違いじゃないってことだね。」
ソアラによると、ファルシア教の総本山があるファンベルという島国に、古代語で書かれた石碑があるらしい。この一文も、そこから写し取られたものだそうだ。そして、その横に添えられた羅族語から、この文字の並びを「感謝」と訳したという。誰も読むことの出来ない古代語で、唯一訳のある言葉だ。
「でも何でセイファーが読めるんだろうね?まさか、epochの過去から来たわけじゃないだろうし。」
「ですよね、もしそうならぼくにも宝珠が付いているはずですし、ぼくの世界――ヘヴンリィには遠い未来を見ることの出来る人もいましたから、何らかの形でepochと呼ばれるようになる要因が見つかるはずです。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ