WHITE BOOK
「見えてきたよ。」
ソアラが指した方向には、この辺りには珍しい大きな建物。3階建ての白壁のそれが、フリーテアハート総合病院だ。
玄関には女神リンダの像。教会にあったものより少し小さめのものだ。リンダは立方体の台座に乗せられていて、台座の手前の面にはプレートが付いていた。想楽はしゃがみこんで、そのプレートに目を通す。が――
「……何、これ?」
まず想楽に読める文字ではなく、さらにフィアル語でもない。そもそも文字と言っていいものかすら分からない、線を組み合わせた記号のようなものが並んでいた。
ソアラとセイファーもプレートを覗き込む。
「これは古代語だよ。今では読める人は誰もいないんだけど――」
ソアラの説明が途中で止まる。それは、セイファーの呟きが原因だった。
「サビマログ……セウダ?」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ