WHITE BOOK
「ぼくの、身代わりになって捕まってしまったんです。白本と同じ形のものを生み出して……。」
「生み出す?」
思わぬ疑問文は、りぼんの声と重なった。
確かにセイファーなら、PSIを使って白本に似たものを生み出すことができるかもしれない。しかし、美姫は想楽と同じ、何の力も持たない人間。今のセイファーの口振りだと、まるで美姫が生み出したようではないか。
「想楽さんとソアラさんには、PSIのことをお話しましたよね?」
問いには頷いて答える。
「アリスさんとりぼんさんには、後で詳しくお話させていただきますね。――えーと、ぼくにも原理はよく分からないんですけど、PSIという力は“うつる”そうですよ。」
「うつる……って、能力って感染とかするもの?」
「ぼくが知る数多くの能力の中でもPSIだけの特徴ですね。正確には覚醒する、と言うんでしょうけど。」
PSIは心の力。それがうつって、覚醒する。
「――で、今その話をするってことは、まさか……?」
「はい、美姫さんはPSIを覚醒させました。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ