WHITE BOOK
当然、想楽とソアラには意味が分からない。となるとアリスも分からず、そしてどうやらりぼんにも理解できないらしい。
声を震わせ、拳を強く握り締めているセイファーにかける言葉が見つからない。もしかしたら、いまはこの言葉しか通じないのでは、と思うほど、セイファーの状態は深刻だった。
「おーい、セイファー?」
アリスが言うと、セイファーはびっくりして、あわてて返事をした。
「メッ、パンセウダ?」
その言葉すら謎の言葉だったが、アリスは気にせず聞いた。
「さっぱり……意味分かんないんだけど。」
しばらく固まる部屋の空気。動き始めるまでに数秒を必要とした。
「す、すみません……どうしても感情が先行すると出てしまうみたいで……。」
ようやく理解できる言葉を話すようになったセイファーに少し安心しながら、想楽は質問の続きをした。
「セイファーは美姫が白本の使徒に間違われてる原因、心当たりある?」
「美姫さんは――」
言葉に詰まりながら、セイファーが話し始める。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ