WHITE BOOK
今まで口を開いていなかったソアラがようやく発言する。
「美姫さんはどうなのかな?」
「うん、それなんだけどさ――」
アリスは机に積んである資料の一番上を手に取る。
「クフィリアの言葉が本当なら、30日までは生かされるはずだよ。とりあえず、読むね。」
どうやら、聖族主義宗教クフィリア教の言葉のようだ。アリスはそれを朗読する。
「《タイムフルワーズ。愛の月満ちるとき、白を持ちマテリアルを持たぬ5人のセイトゥンの命を捧げよ。さすればフェアリーは降臨し、世界を平和に導かれるであろう。》」
ファルシア教のそれよりも、だいぶ短い。
「愛の月満ちるは愛の月の末、つまり30日。白を持ちマテリアルを持たぬ5人のセイトゥンはたぶん白本の使徒達。フェアリーはクフィリア教の神のことだよ。」
ソアラの補足も交えて、その言葉を何度か心の中で繰り返す。そうしているうち、1つの疑問が生じた。
「美姫は白本の使徒じゃないよ?」
そう、美姫は白本を持っていないはずだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ