WHITE BOOK
この世界において、スパイラルやオーブがないと言うことは、それ即ち死を意味する。だから、そのどちらも持たない人間は、この世界に存在しないのだ。グランエスタリア行きの電車で、右手に何もないことを驚かれた理由が、今更にして分かった気がした。
さらにアリスが付け加える。
「宝珠やら螺旋やらは、体内の源力を安定させてくれるんだ。だからそれを失うと、体内源力が暴走して、最終的に死に至る……というわけ。」
血液が体内を流れているのと同じように、源力も体内を循環していて――人によって源力の属性が違うのはこのせいだろうか――、それが生命維持をしている、と言うことらしい。少しでもこの世界になじめてきたかと思いきや、そんな根本的なところまで違っているとは思ってもいなかった。
セイファーの世界には似たようなものがあるらしく、
「ぼくの世界で言うところの、魔力のようなものでしょうか。いわゆる――生きるための力、ですね。」
と返していた。セイファーの世界では、魔力は生命維持に使われているらしい。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ