WHITE BOOK
あからさまな動揺を見せ始めた想楽に追い討ちをかけるように、トーンの下がったままの声でアリスが言った。
「そのまさか、だろうね。」
それから、右手の甲に付いた青い楕円型のオーブをこちらに見せ、左手の中指でこつこつと叩いた。
「やつらの目的は、羅族の宝珠を採ること。」
前から知っていたソアラと、あらかじめ聞かされていたりぼんは難しい顔をするが、想楽とセイファーは反応を返すことができない。とにかく、この平和そうな世界にそのような仕事が当然のように存在していることが、ショックでならなかった。
「予想はだいたい付いてますけど――」
セイファーが口を開いた。
「宝珠を採られた人は、どうなるんですか?」
質問を受けたアリスは、表情を変えない。そのまま、椅子を半回転させて、こちらに背を向けた。そしてぽつり一言。
「当然――生きちゃいられないよ。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ