WHITE BOOK
アリスは椅子から降り、手に持った資料の中から何かを探しつつ、話し始める。
「スターシーカーってのは、フリーダム株式会社っていう宝石の加工とか卸売とかやってる会社の社員のことなんだ。セイラルの経済発展はフリーダム社がなければあり得なかったってことで、国内じゃ神聖視されてるんだよ。」
目的の資料は見つかったようで、ソファーのところまで歩み寄ってから、想楽にそれを渡す。
「で、それを理解したうえでこれを見てもらえばいいのかな。」
4人でその資料をのぞきこむ。左から羅名、生年月日、性別、オーブの色、源力操作の属性と型式――計6つの項目が作られていて、そこに人の名前がずらりと書いてあった。一番上には「新暦1097年風の月被害者」と題名が付けられている。風の月というのがいつか分からなかったのでエリカに聞いてみると、
《風の月は、想楽様の世界で言うところの5月になります。》
とのことであった。この資料は今年の5月の「被害者」が対象になっているようだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ