WHITE BOOK
「何を話していたんですか?」
右方向に首を傾けながらセイファーが聞いてきた。
「うん、アリスの白本の使徒ってどんな人かなって。」
答えながら、慈愛乃闘神のページをめくる。
《アイリスはハイドランジアとは仲が良かったですね。何か感じるものはありますか?》
表示された台詞は、セイファーに向けたものではなく、その白本の精アイリスに向けたものだった。おそらく、ハイドランジアというのが、アリスが届けた白本に宿る白本の精だろう。
セイファーはブックと唱えて右手首のブレスレットを本の形に戻し、開いた。
《うーん、なんかすごい速さで移動してるってのは分かるんだけど、ハイドランジアちゃんってそんな白本術知ってるっけ?》
アイリスが表示したのは疑問文だ。
「もしかしたら車に乗ってるのかもよ?」
それに対して率直な意見を述べたが、
《そうかなー。》
返ってきた返事は曖昧なものであった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ