WHITE BOOK
第12章:星狩人(Star Seeker)
そこは深淵と呼ばれる場所。
彼女は、そこに描かれた魔方陣の中央に立っていた。
「私は無償の愛を――歪んだ愛を捧げましょう。」
若い男の声が静かな空間に響き、彼女の聴覚を刺激する。
「俺は笑顔――邪気に満ちた笑顔を。」
「――虚無の心。絶対なる力。」
光が生み出される。彼女を包む魔方陣の周りに、大小さまざまな7つの人影が現れる。彼女も含め、着ているものは揃いの白いローブ。
「わたしからは、このせかいの――にたいするきょうふ。」
水色の大きな翼を持つ女が不気味に笑う。
「オレからは、この世界を――する喜び。」
ローブの上からでも分かるほど筋肉質な男が高らかに笑う。
「さぁ、私達の力も受け取ってよ。私からは、狂気を。」
「その力を目覚めさせるんだ。僕からは――」
彼女は口を開く。
「――私は――」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ