WHITE BOOK
久しぶりに、こんなに鮮明な夢を見たかもしれない。
共団の一室で目を覚ました想楽は、夢を思い返していた。
あの人達は誰だったんだろう。それに、あの場所は――
ふと右側を向くと、ソアラがいたはずの布団は空だった。時間は7時半と、いつもの起床時間より少し早め――想楽の「いつも」は遅めではあるが――でしかない。
よく考えてみると、ソアラはベーカリーの娘。早起きは身に付いているだろうし、確か朝のウォーキングが日課だと言っていたから、もう起きていても不思議ではない。
そうこう考えているうちに、夢の内容はすっかり頭から消えてしまっていて、がんばって思い出そうとしても結局思い出すことはできなくなってしまった。
想楽は諦めて、うつ伏せの体を起こすことにした。4日も見続けているとさすがに見慣れた水色の髪に手を突っ込んで、頭をかいた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ