WHITE BOOK
しばらく無言のままそうしていた。セイファーの響きが消えると、彼は想楽とソアラに向かってこう言った。
「美羅乃さんもテレパシスト族なんですね。」
確か、電車で話に挙げられた気がする。テレパシスト族はフィアルしか存在しない種族で、左の手首にスパイラルとは違う紋様が浮かび上がっている。額に第3の目を持っていて、それを開くことで相手の心を読むことができるそうだ。
美羅乃は左の袖をまくり、こちらに見せた。それはくるりと巻きついた蛇のようにも見えた。
「確かに私はテレパシストですけど……どうして分かったんですか?」
先程の口振りから、セイファーは以前にテレパシストと会ったことあるとは分かるのだが、それでも左腕を見ていないのに判断はできない――明らかに服装がテレパシストしてるよ、とソアラのつっこみが聞こえたような気もしたが――だろう。
セイファーは理由をこう説明した。
「クフィスさんと同じ、響きに近いものが聞こえたんですよ。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ