WHITE BOOK
「美羅乃さん、アリスは?」
フィノンが訊ねると、そうですねと少し考えて答えた。
「団長は団長室にいらっしゃると思いますよ。」
団長室は1階事務所の一番奥にあるという。
「僕、呼んできますね。」
ライトがそのままの足で階下に降りていった。
それを見送って美羅乃の後ろに目をやると、他の団員と思われる人が4人、想楽とセイファーに注目していた。エランドの1人と行動を共にしている人なら、他のエランドが連れてきた白本の使徒が気になるのは当然と言っていいのかもしれない。
と、ふいに山吹色の光が目に入る。それはセイファーの放つ響きなのだが、ただ放たれているだけで何かが起きている様子はない。また考え事をしているのかと思ったら、美羅乃が反応を示した。
「えっ……?」
額に手を当てて、困惑した表情を浮かべながら美羅乃はセイファーをじっと見つめる。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ