WHITE BOOK
車の中なので控えていたが、青く光るエリカの呼びかけを無視することはできない。
「あ、それ白本だね?」
まだ後ろを向いたままのフィノンが効いてきたので、うんと頷きながら本を開く。
《セリフィ大陸は、epochにおいて一番栄えている大陸です。北のレイベル国は羅族主義国家、南のセイラル国は聖族主義国家、そして西のミルリーフ国は共生主義国家です。》
右ページにセリフィ大陸の地図を表示しながら、エリカは左ページにそう書き記した。アルファベットのCの形をした大陸の北半分がレイベル国、南半分がセイラル国、西の端にこぶのようにくっついている部分がミルリーフ国らしい。
続いてアイリスも主張を始め、セイファーが本を開く。
《ミルリーフはみんなファルシア教を信じてるけど、レイベルはメルティア教、セイラルはクフィリア教っていう別の宗教を信じてるんだよ。》
あぁそうか、と納得。宗教は世界で1つしかないという状況はありえないのだ。人種が複数ある時点でその数だけ宗教があるのは当然とも言える。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ