WHITE BOOK
不思議なことに、プロテクションに覆われた途端、息苦しさが解けるように消えた。脳に必死に酸素を送りながら、もしかしたら何か源力操作を受けていたのかもしれない、と考える。
ソアラがフィノンと呼んだ少女が、3人に向かって言った。
「早く乗って!」
セイファーがソアラを見る。視線の先に想楽も顔を向けた。
「ソアラさん、彼女は……?」
「大丈夫、共団の人だから。味方だよ。」
まだ足元のおぼつかない想楽をソアラが支える。それから、車の後部座席のドアを開け、奥から想楽、ソアラ、セイファーの順に座った。
運転席に座っているのはフィアルの男性。こちらも、共団の人だろう。
「シートベルト締めておいてください。国境越えるまで、飛ばしますから。」
初めて聞いたその声はとんでもないことを口走り、3人はあわててシートベルトを装着する。セイファーの世界には車がないのだろう、付け方が分からないらしくソアラに聞いていたが。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ