WHITE BOOK
音は1回きり、光もほんの一瞬であり、セイファーはゆっくりと響きを解放していく。
向こう側にいたのはフィアルの女性。右手の螺旋模様には、先程の光と同じ色の源力が集まっている。瞳に宿るのは――明確な敵意だった。
「セイトゥンめ、おとなしく捕まりなさい!」
状況がよく飲み込めない。ただ、こんな一言でも、これだけは分かった。
「私達、今きっと……狙われてるよね?」
「そっか、忘れてた……時乃言葉が出たの、きっとファルシア教だけじゃないんだ。」
想楽とソアラは静かに思考を口にする。その一方でセイファーは、
「……ゴプ“セイトゥン”ワンイャパニセウソ?」
と、あの謎の言葉で呟いていた。
気が付けばその女性以外の人――全てがフィアルだ――も源力を集め始めていた。港の前の道路が一気に8色に染められていく。
慈愛乃闘神を本の状態で持っているにもかかわらず、フェザーズを唱える精神的余裕がなかった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ