WHITE BOOK
夕方、船は目的地に辿り着いたようで、続々と人が荷物を持って降り始めた。
今更だが、乗客は9割以上がフィアルで、ディアルは数えるほどしかいない。その理由をソアラに尋ねると、
「セイラル国がフィアル国家だからかな。エアウェーもフィアルのほうが人口多いしね。」
とのことであった。確かに乗客に限らずとも、港の従業員は全てがフィアルのようだ。捜せばディアルもいるのだろうが、そこまでする必要はないだろう。
手続きを済ませて港を出ると、そこに広がる景色は意外にもとても近代的なものだった。そこそこ高さのあるビルもあり、片側2車線の車道には、そういえばエアウェー国ではまったく見なかった自動車が走っている。
結局あれからリングに戻していない慈愛乃闘神を開く。
《想楽様と出会った駅の周りは、こんな雰囲気ではなかったですか?》
言われてみれば、少し似ている気がする。違うのは駅が港になっていることくらいか。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ