WHITE BOOK
《エリカちゃんは堅苦しいなー。アイちゃん、そういうの苦手だって知ってるでしょ?》
セイファーがめくったページにはそう書いてあった。アイちゃんというのは彼女――でいいのだろうか――の1人称だろう。それにしても、白本の精同士はやはり面識があるようだ。
想楽がその文章に目を通すと、再びエリカが矢印を表示した。
《もちろん知っていますが、最低限の礼儀というものがあるでしょう?セイファー様の性格はこちらから見ても決して高圧的ではありませんが、だからと言ってその態度ではいけませんよ。それとも、我からではなくタンジェリンの半日説教を受けたいですか?》
こんなにエリカが長文を書くのは久しぶりだ。タンジェリンというのも、他の白本の精なのかもしれない。
しかしながら、エリカはアイリスの母親みたいだ、と想楽は思う。しかも口うるさいタイプの、だ。
《ひえー、それだけは勘弁してー!》
アイリスの表示した言葉を想楽が読んでも、それに対してエリカが返事をすることはなかった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ