WHITE BOOK
「PSIってどんなことができるの?」
想楽の質問に対して、そうですねぇとセイファーが考え始める。
「PSIは本当にいろんなことができすぎるんです。結局は想像力次第ですからね。」
「あぁ、そっか。」
セイファーの説明に妙に納得してしまう。
するとセイファーは部屋の中を見回し始める。最終的に視線はテーブルの上にある湯沸かし器のカップに向けられた。さらに、響きを保ったままの人差し指をそちらへ向けた。
「手を触れずに物を動かしたりもできますし――」
たちまち響きに包まれたカップは、音もたてず空中に浮かび上がった。
「無から物質を生み出すこともできますし――」
今度は左手の人差し指でカップを――正確にはカップの少し上を指す。そこに現れた響きから、まるで蛇口をひねったかのように水が溢れ出した。響きは、湯沸かし器本体のコンセントを差し込んで電源を入れ、カップに満たされた水を沸かし始めることまでしてみせる。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ