WHITE BOOK
そして3人は今、小さなホテルの一室に集まっている。想楽とソアラで1室、セイファーで1室借りたうちの、セイファー側の部屋だ。
「えーと、これのことですよね?」
セイファーは右手の人差し指を上へ向け、そこにあの山吹色の光を出現させた。
「うん、これってセイファーの世界の魔法?」
そうですねー、と考えながら、セイファーは開いている左手で頭をかく。
「魔法……とはちょっと違います。魔法と言えるものは、ぼく達の世界では『導術』と呼ばれています。想楽さんは見たと思うんですけど、最初のフレイムウォールは導術ですよ。」
さりげなく、魔法と呼べる存在も披露してくれていたようだ。しかし、魔法ではないこの光は一体何なのか。光を見ていても答えが出てこない。
「魔法じゃなかったら、一体――?」
「単に『能力』としか分類されませんね。導術は訓練次第で誰でも使えるようになりますが、能力はそうでないもの、と考えていただいていいと思います。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ