WHITE BOOK
わめきながら空中で暴れる黄色い眼鏡には構わず、セイファーは同じように左手を上げ、光と共に緑の眼鏡も宙に浮かせた。
左右対称にもがく姿を見て、想楽が呟く。
「あぁ……やっぱり、双子なんだろうね。」
「そうでしょうね。」
セイファーも返事をしてくれた。そう言いながら、両手の人差し指は小さく円を描いている。その動きに合わせて、男達の体も宙を舞っている。
文字に書き表すことのできない叫び声を重ねていた2人は、しばらくそうしているうちに静かになった。何も言わなくなったのを確認してから、セイファーは2人を地面に降ろし、光を解放した。
セイファーの後ろについて2人に近付く。
「だ、大丈夫……かな?」
セイファーは2人の顔を覗き込み、軽くうなずいた。
「目を回しているだけだから、大丈夫ですよ。――あ、みなさん、お騒がせしました。」
群集に向けた笑顔は、屈託のない笑顔だった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ