WHITE BOOK
だが、2人は近付いてこない。何があったのか、源力操作もする様子がない。先程までの行動と今の言葉を考えると、これはおかしい。
その原因は――おそらく、先程から2人の足元を取り巻く光。日が落ちたからこそ分かる山吹色は、セイファーの手の平にも同じように存在していた。
「本当は卑怯ですから使いたくなかったんですけど……すみません、こっちは時間がないんです。」
「な、なんだこれは!」
「なぜだっ、なぜ動けない!」
上半身は普通に動いているが、地面についている脚がまったく動いていない。あわてて上半身を振り回す2人に、セイファーが微笑みながら言った。
「そうですねぇ、説明しても分かっていただけるかどうか――」
そんなつもりはないのだろうが、笑顔が怖いと想楽は思った。
「あなた達の足を、地面に向かって移動させているだけですよ。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ