WHITE BOOK
「ソアラさんが戻ってきているかもしれません。早く終わらせてしまいましょうか。」
「うん、そうだね。」
言っている間にエリアの効果時間が過ぎ、白いバリアが霧散していく。白以外の色を取り戻した風景は、先程のスパイラルのせいか水浸しだった。無傷どころか水に濡れてすらいない想楽とセイファーの姿を見つけた男達が、目を大きく見開いてこちらを見ている。野次馬もがやがやと騒がしい。
兄弟の方へ向き直ったセイファーが口を開いた。
「あなた達2人くらいなら、ぼく1人で大丈夫そうですね。」
それから半分だけ想楽の方を向き、目で同意を促してきた。
「あぁうん、そうだよね。」
急な振りにも、何とかそれらしく答えることができた。この台詞を挑発と感じないわけもなく、
「な、なんだと!」
「なめてんのか、てめぇ!」
案の定、それに乗ってくる2人だった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ