WHITE BOOK
とその時、セイファーが動き始めた。
見た目や服装に似合わない高速で想楽の前に踊り出る。それから、右手を前へ突き出した。そこから夕日色の光があふれ、木製の杖を出現させた。どのような原理かは分からないが、生み出された杖をセイファーは右手に握る。
ここまでの行動を行っても、まだ相手の鎖は遠い。
今度は杖の先を飛んでくる鎖に向ける。集中と分からない一瞬の集中。
鎖の輪の1つ1つが認識できる距離になったとき、セイファーは口を開いた。
「エンチャント、フレイムウォール!」
たちまち想楽とセイファーの前に、青い炎が立ち上る。それはその名の通り壁となって、鎖の行く手を阻んだ。壁に触れた鎖は一瞬にして融解していく。鎖の全てを飲み込んだ後、壁は音もなく消えた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ