WHITE BOOK
この世界にも、こういう人はいるんだなと感じた。帰りにナンパされるから困ってる、と度々相談を持ちかけてくる同級生のことをなぜか思い出した。ちなみに、想楽自身は一度もナンパされたことがない。しかし、epochにナンパされに来た覚えはもっとない。
「私達、この後忙しいの。他をあたってくれる?」
想楽は表情をさらに険悪にして、手は虫を払うようにしながら返事を返した。彼ら自身の気持ち悪さも手伝っての結果だ。
「そっちのお嬢ちゃんは?」
緑の眼鏡に言われているのは、もちろん想楽の隣に立つセイファーである。やはり、というか当然というべきか、彼らもセイファーの性別を間違えているようだ。
「ぼく、男ですよ?」
説得力のないソプラノでセイファーが言ったが、
「ちぇっ、なんだ男か。つまんねえな。」
素直に認められる彼らはすごい、と想楽は内心感動していた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ