WHITE BOOK
とにかく、みるむがさらわれたのは間違いないようだ。
「美姫と、その……クフィスさん?はどうなったの?ここにはいないみたいだけど。」
「それが……。」
セイファーが沈黙する。だが、その沈黙で想楽はおおかた予想が付いた。
「美姫も……連れて行かれたんだね。」
つぶやく想楽に、セイファーはさらに小さな声でこう言った。
「ホペンパワニ……。」
おそらくは最初に聞いたあの謎の言葉だ。言葉の意味は解らずとも、明らかに沈んでいるセイファーの様子を見て、なんとかはげまそうとする。
「き、気にしなくていいよ。セイファーが悪いんじゃなくて、その人さらいの2人組が悪いんだし。」
「そうですよ。セイファーさんだって怪我をさせられたじゃないですか。」
サリーも一緒になってフォローしてくれた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ