WHITE BOOK
「そうだ、もう怪我は大丈夫ですか?」
サリーはさらにそう付け加えた。想楽とソアラは、部屋に入ってきたときに肩を押さえていたのはそのせいか、と納得する。
セイファーは少し笑顔になった。
「はい、もう治りましたから。」
「そうですか、それならよかったです。」
安堵の表情を浮かべるサリーを見ながら、想楽は考えていた。
セイファーが言うには、みるむ達がさらわれたのは2時間前、そのときに怪我を負わされたのだろう。どの程度のものだったかは分からないが、2時間で治ってしまうようなものなのだろうか。
しかし、その答えはすぐに見つかる。
(あぁ、そうか。)
セイファーの世界にも魔法はある。最低でも、傷を癒す魔法は。
その魔法を見る機会はあるだろうか、と想楽はこんな空気の中でも少し期待していた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ