WHITE BOOK
駅から出ると、もうその時点で正面は森だった。アスファルトで舗装されていたジュディーパリス地区とは違い、ここの道路は石畳でできている。最初に見た景色がこうなのだから、地区面積の8割が森林という話も頷ける。
木に引っ掛けられた案内板通りに数分歩いただけで、すぐにそれらしい建物が見えてきた。
「こっちだよ。」
2つ並んだ建物のうち、右側に立っている大きな建物に入る。
まず正面に長い廊下があった。中央に通路を作るように、左右に長椅子が並べてある。いわゆる、ありがちな教会だ。
長椅子の間を歩き、建物の一番奥――1段高くなっているところにある、想楽と同じくらいの大きさの像の前に立った。
「これが……?」
「うん、ファルシア教の女神、リンダ・ファルシア様だよ。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ