WHITE BOOK
丸1日の電車の旅はあっという間だった。
景色に飽きることはなかったし、車内に目を向ければ乗客が寄ってきて想楽の話を聞きたがる。明国のことを話すついでに、想楽もこの世界のことを聞き、ぐっすり眠って元気になったソアラも混じって会話が弾む。
その会話の中に、ソアラ達エランドが所属するファルシア教の話もいくらかあった。言うには、女神リンダというその人の像に、想楽がよく似ているらしい。ソアラが言われてみればそうかも、と納得していたのだからよほど似ているのだろう。実物はグランエスタリアの教会にもあるとのことだった。
乗務員にお礼を言って電車を降りる。1日振りの揺れない地面で、逆に違和感を覚えた。
「じゃあ、そのまま教会行っちゃおうか。」
慣れているのだろう、平然としているソアラが言った。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ