WHITE BOOK
この世界の人は全てがフィアルかディアル、そしてそれぞれの混血であり、それゆえに全てがスパイラルかオーブ、または両方を持っている。これはすでにソアラに教わっていたことだ。
しかし、想楽はフィアルではなく、もちろんディアルでもない。スパイラルもオーブもないのが当然なのだ。
奥側の部屋から出てきたディアルの男性が想楽の右手を取った。
「オーブもないようだ。一体これは……?」
5人はそれぞれの同室の人――最初の女性は手前側から出てきた2人と同室らしい――と顔を見合わせる。
「スパイラルもオーブもなくて生きていられるんでしょうか?」
「スパイラルの色が薄いだけじゃない?」
「それだったらあんな平気な顔でいられるわけがありませんよ。」
想楽は、ぼそぼそと何かを話している5人を困惑顔で見ていた。すると8両目の最後尾にある扉が開いて、乗務員と見られる女性が姿を現した。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ