WHITE BOOK
振り向いてみると、そこには見知らぬ女性が立っていた。
空調のかすかな風にも揺れる緑色の髪と、真っ白なワンピース。それでも際立つ肌の白さと、右手の甲に付いている紫色のオーブからディアルであると判断する。耳はよくあるエルフのように尖っていて、頭からは蝶の触角のようなものが生えている。
「な、なんですか?」
ディアルとまともな会話をするのが初めての想楽は、少し緊張しながらも聞き返した。女性は頬を真っ赤に染めて、想楽に聞いた。
「もしかして、昨日のニュースに出ていたエアル・チェリーさんですか?」
昨日のニュースとは間違いなくトレーニングホールの襲撃事件のことだ。そうでなければ、想楽の名前――しかもフィアル名のほうを知りえないからだ。
「はい、そうですけど……。」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ