WHITE BOOK
長い間、窓の外を見ていた。
ソアラが起きだす様子もないが、丸1日お世話になるこの列車の中を少しでも確認しておこうと思った想楽は、少し部屋の外に出てみることにした。
白本をリングに変え、左腕につけた。窓の暗幕を閉めておいてから、入り口に揃えておいたローファーを履いた。
車内は空調が効いているのか、少し涼しい風が吹いている。まずは、進行方向側にある案内板で大まかな位置を確認しておくことにした。
洗面所とトイレは一番近いもので7両目の後ろ側。その近くには自動販売機もある。公衆電話は7両目の前側、ゴミ箱は各車両の後ろ側。車掌室は4両目の後ろ側のようだ。
ポニーテールの先を右手の人差し指でくるくると巻き取りながら施設の配置図を頭に入れていると、突然背中側から声をかけられた。
「あの――」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ