WHITE BOOK
想楽は起き上がって、窓から外を覗いてみた。通学のために乗る電車からのものとは当然違う景色がゆっくりと流れていく。
カラフルな屋根の建物は相変わらず多いし、想楽が辿り着いた公園より大きな公園もあった。広場のようなものもあって、種族は分からないが数人の子供が遊んでいた。そして、広い田んぼには黄金色の稲が、風にふかれて揺れている。
「――稲?」
想楽は首をかしげる。
よく考えるとおかしいのだ。今は愛の月3日、明国で言うなら6月の初めで、季節は夏の入り口のはずだ。どうして、秋に収穫するはずの稲が、収穫直前のような状態でそこにあるのだろうか。
それを確認しようと、ソアラを振り返ると。
「……あぁ、寝ちゃってる。」
ソアラはうつ伏せに寝転がったまま、すやすやと寝息をたてて眠っていた。仕方ないなぁ、と部屋の角に重ねてある毛布を1枚取り、ソアラにかぶせてやった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ