WHITE BOOK
どうやら純粋火炎の効果は、精神にある悪しき心を焼き尽くし、その心の持ち主を暴炎で吹き飛ばす、この2種類らしい。精神を持たない物質にはまったく影響がないため、その吹き飛ばしも起こらないらしく、確かに部屋の物品の配置は何一つ変わっていない。
完全に命を持った「生物」に対するための魔法であり、さらに言えば「悪」を相手にするための魔法である。
《これで彼も、しばらくは悪さをできないでしょう。純粋火炎はそういう白本術です。》
つまりは、悪を改心させる魔法。
人を傷付けることなく悪を征する。まさに「慈愛乃闘神」の名の通りだ。
しばらく起きそうにないコウジを廊下に放置して、想楽は階下に下りてみることにした。
あれだけの爆音をあげてしまっては当然か、ホールはだいぶ騒がしくなっているようだ。
「さて、また気を入れ直さなくっちゃ。」
エリカに向かって呟いた、そのときだった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ