WHITE BOOK
第3章:魔法乃本(Magical Book)
弁当を食べ終えた想楽と美姫は、どこまでも澄み渡った青空を見上げて話をしていた。
話の内容は日によって多少違うものの、いつも同じようなものである。
「どこまで進んだ?」
聞くのは美姫。それだけでも何の話か分かる想楽は答える。
「昨日は全然。あそこの敵強いから、しばらくレベル上げようと思って。」
「あー確かに。ブラックホース……だっけ?」
「そうそう、あいつの蹴飛ばし攻撃はハンパじゃないよね。」
「分かる分かるー。」
想楽と美姫が一緒にいられる理由。それは、2人共ゲーマーであるという共通点があるからだった。
おしゃれやテレビの向こうの世界にそんなに興味がなく、漫画を読んだりゲームをしたりしている方がよっぽどいい、という思考回路も似たり寄ったり。他の人とはまったく話が合わないが、美姫がいるから、想楽がいるからという考えがあるために、こうやって毎日一緒に屋上に来るのだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ