WHITE BOOK
「桜木想楽の名において命ずる。汚れなき炎を生み出せ!」
二度目に口にする純粋火炎の呪文に迷いはない。想楽の視界を遮っていた真白障壁は、その呪文で霧になって消えた。代わりに、練習場の部屋が、コウジのジュエラルで凍らされた状態で姿を現した。
ちょうどペン先が向いているところに、コウジが立っていた。
「な、なんだ今のは――プロテクションにしては変じゃなかったか?そんなはずは……っ!」
覆面の下の表情が動揺していることは容易に想像できる。プロテクションという魔法がスパイラルにあるのだろう、コウジは今の真白障壁をそれと思っているようだった。
想楽の視線を受けたコウジが、ペン先を向けられていることに気付く。覆面の向こう側にある目が大きく見開かれた。
「――なんだって……!」
「ブラスト、純粋火炎(クリアフレイム)!」
続きを言わせる暇もなく、想楽は火炎を放った。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ