WHITE BOOK
どっちの白だろう。
今、想楽の手足には感覚がなかった。それがコウジのジュエラルで凍っているからなのか、真白障壁がこのような効果だからなのかは判別が付かない。何せ、どちらも想楽は初めての体験なのだ。
しかし、想楽は確信していた。この状態が白本術によるものであることを。
「吹雪を受けて、立っていられるわけないもんね。」
ぐるりと周囲を見渡す。その視界は、自分の存在以外を白く染められていた。
《考えましたね。さすがは想楽様です。》
白本を開くと、そう書かれていた。右手の羽ペンを包んでいた光も、白本術を発動したからか消えている。
「次は、こっちの番だね。」
《はい、相手は想楽様が現在向いている方向にいるはずです。》
羽ペンを握りなおし、その先を正面に向ける。効果時間の15秒ぎりぎりまで待ってから、次の導入を唱え始めた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ