WHITE BOOK
静寂に突然響き渡る大声に想楽は驚き、身体をびくっとさせた。コウジのほうはと言うと、入り口からほんの数歩入ったところで、腰を抜かして動けなくなっている。
おそらくコウジは、想楽を幽霊の類と勘違いしているのだろう。顔と一緒に足元が照らされているのには気が付かなかったのだろうか。
このまま勘違いされたままじゃ、なんか嫌だ。
思った想楽は、自分が最後の1人であることを遠回しに表現した。
「何のつもりで、私以外のみんなを下に拘束してるわけ?」
その台詞で、相手は今見えているものの正体が分かったようで、ばばっと効果音が聞こえてきそうなほど、機敏に体勢を立て直した。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ