WHITE BOOK
想楽は部屋の入り口に姿を隠し、その場所から光をのぞかせる。気付いたらしいコウジの足音が近付き始めると同時に手を引っ込めて、今度は隠れていた掃除用具入れの前、つまり入り口から一番遠い部屋の角へ駆け寄った。すぐにでも発動できるよう、ペン先は足元に向けておく。
コウジが部屋に入ってきた。
覆面の向こうの表情は分からないが、ホールでの会話と、今の身体の強張らせ方からして、彼は結構怖がりなのかもしれない。
相手も、もう想楽の存在には気付いているだろう。こんなに白く明るい光が、顔を――
「――でっ、出たああぁーっ!」
意図が違うとはいえ、下から照らしているのだから。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ