WHITE BOOK
続けて低い声がコウジに追い討ちをかける。
「今ハルと俺とでこの人数を押さえてるんだ。自由に動けるのはお前だけだぞ、コウジ?」
コウジは見事なまでに言いくるめられているが、想楽はその台詞に安心していた。これで正真正銘相手は3人であり、これからこの階段を上ってくるのも、大方コウジ1人で確定したからだ。
もう一瞬だけ階下に光を見せてから、想楽は先程の部屋の入り口に舞い戻った。コウジが上ってくるまでの間に息を整える。
運動部に所属したことはないが、大会の試合前というのはこんな気持ちなのだろう。
もう少しで、命をかけた試合が始まる。
階段を上る足音が近付いてきた。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ