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SDSバスターズ~ピエロ退治します~

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<章=なんて俺は馬鹿なんだ……>

 セシルは満面の笑顔を見せ、言った。
「いやぁ~。そっか! じゃあ、今から君は仲間だね」
 そう言うことなら、今日はもういいや! そう言って、席を立ちあがった。
「はぁ!? ちょ、ちょっと待てよ」
 セシルは他の三人にほら、行くよ! と言うと出口に向かって歩き出した。
 呆然とする俺に向かって、ゲンが振り向きざまに両手を顔の前で合わせ、口を動かした。
「す、ま、ん?」
 そう思うんだったら、最初からするな!




その晩、俺のケータイに一通のメールが届いた。

Sub:ゲン
本文:今日はほんとにすまない。本当に嫌だったら、マジで断っていいから。それと、今日の一件、俺とエリーは全く関わってないから! 俺らも奴の手の上で踊らされたんだ! そういうことだから、また明日な。

 関わってない、ねぇ。確かに二人のあの様子から見ると、それは確かなのだろう。
「というか! 俺のメアドをどっから手に入れた!!」
 眠りに落ちるまで、俺はベッドの上で頭を悩ませ続けた。




 次の日、俺はゲンのメールにあった「また明日」という文言を追求すべきだった、と後悔していた。
  理由は以下の三つ。
・新任の先生がきた。この中途半端な時期に。
・転入生がきた。この中途半端な時期に。 
以上。

 朝、登校すると生徒たちはいつにもましてざわついていた。
理由を田口と山田に尋ねると、今日、転入生と新任教師が来るからだと言う。
 中途半端な時期と言うこともあり、田口は不思議に思い山田に情報収集を命じたそうだ。山田は文句を言いながらもその結果を報告した。彼の報告によると新任教師一名、転入生三名(内一名は一学年に転入)の計四名であるとのこと。
 俺はこのとき、何かがひっかかったが「まさか」と自分自身の考えをあざ笑った。
 また、情報収集能力だけは人一倍の山田は、彼らの性別までも明らかにしてきた。全く、どうやって調べてるんだか。たまにコイツが怖くなる。
 さらに、二学年に転入してくる生徒の一人は俺ら三人と同じクラスらしい。しかも女子。もう一人は男子で隣のCクラス。
 新任の教師の担当は科学で男性職員。
 一学年に転入してくる生徒は女子である、異常の情報を山田は入手してきた。
 全ての情報を聞き終わると同時に始業のチャイムがなったので、俺らはそれぞれ自分の席に着いた。
 ガラガラっと前のドアが開くと、担任の鈴木が入ってきた。
 彼の担当は国語であるが、普段から白衣かジャージを着て足元にはサンダル。歳は教師にしては若く三十路前。やる気のなさが逆にウケるのか、生徒に人気の教師の一人である。
「はい、席付けよー。もう、知ってると思うが転入生だ。時間がないので手っ取り早く行く。入って」
 生徒たちのちゃんとしろよ―、という笑い交じりの声を振り払うように手を振り、その手でそのまま転入生を呼んだ。
 入ってきたのは身長がやや高めで、すらりと伸びた手足を持ち、さらさらな焦げ茶の髪を真横で一つに留めた少女だった。
 彼女は教室に入ると、担任の横に並んだ。
 彼女が歩みを進めている間に担任は黒板に彼女の名前を書いていた。
「えーっと、菊野(きくの) 陽詠(ひよ)さんだ。みんな、仲良くするよ―に」
 ほら、お前もなんか言え、とせかすと菊野は満面の笑顔を浮かべ、よろしくお願いします! と元気よく言った。
「そだなぁ。席は和真の前だな」
 俺はガタっと立ち上がり、叫んだ。
「な、なんで!」
「そりゃ、お前。俺が決めたからだよ」
 こんのクソ先公がぁ~! と叫びたいのを必死に抑え、席に着いた。
「よろしくね」
 いつの間にか、前に来ていた菊野は振り返り言った。
「よろしく~。俺、田口」
 と、田口は俺にされた挨拶を利用し、ちゃっかり自分をアピールしていた。
 その後、いつものようにショートホームルームが行われた。
 全てが終わり、退出しようとした。先生は、何かを思い出したようでバックしてきた。
 そして、言い放った。
「あ、和真。お前、放課後科学準備室こいな」
 ほんとにつくづく、嫌な先公だ。

 その日のお昼休み、教室は男子生徒で溢れかえった。女子の姿はほとんど見えない。
 というのも、菊野はお世辞抜きでカワイイ。カワイイ転校生と言うのは、その噂が一日で学校中に広がるものである。男子もまた然り。
 しかし、ぱっと見て男子の数がこれだけということは、一年に転入してきた女子も相当なレベルなのだろう。
 男子に囲まれた菊野は、嫌がるようすのなくハキハキとそれでいて、丁寧に彼らの質問に答えている。俺も授業の合間や、短い休み時間などで彼女と少し話をしたが、明るくよく笑う少女であった。
 他の生徒が本日現れた美男美女の転入生と交流を深めている間、俺と田口は山田からさらなる情報を集めていた。
 隣のクラスに来た男子の名は「天野(あまの) 神(しん)」。天の神か、何て恐れ多い名前だ。俺は思わず鼻で笑ってしまった。
 次に一年。名前は「逢河(あいかわ) 愛理(えり)」。身長はやや低めで、髪はとても長い黒。肌は白く、性格は大人しく無口であるという。
 最後に新任教師。名は「佐久間(さくま)浩介(こうすけ)」。担当教科は科学で、今度から俺らの授業も彼が担当すると言う。顔に髭を生やし、牛乳瓶の底の様な眼鏡をかけている。さらに、髪はボサボサでお世辞にも女性にモテそう、とは言えない風貌の持ち主らしい。
「なんだか。」
 全ての情報を聞き終え、田口が口を開いた。
「なんだか、なぁ。教師だけ浮いてんな」
「確かに」
 そう言って、三人で笑った。
 いつの間にか、一人になっていた菊野が話しかけてきた。
「何? 何の話し?」
 それと同時にチャイムが鳴ってしまった。
 俺は彼女に「何でもないよ」と言って、前を向くよう促した。彼女は頬を膨らませ、ケチと唸った。俺は小さく笑うと、起立した。
 着席し、窓を眺めボーっとしていた。
 残りの授業は古典に、現代文。
 放課後には鈴木の呼び出し。……ああ、帰りたいな。