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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・禄 】白い天使に懐かれた

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ゴン!!

「っだッ!!!;」
後頭部を思い切り玄関に叩き付け京助が声をあげる
「何なんだやな!! お前!」
「誰なんだやな!! お前!」
ゼンゴが犬の姿のまま京助を庇うようにその人物の前に立ちはだかった
「きょう…」
騒ぎに気づいた緊那羅が沙織を抱えたままやって来た
「慧喜…!」
そしてその人物を見るなり口にしたその人物の名前と思われる言葉
「あいかわらず綺麗な声してるね俺には負けるけど」
【慧喜】と呼ばれたその人物は緊那羅を見るとそう言った
「京助になにしてるっちゃ!! 京助は…っ」
「知ってるよ? 【時】が来るまで何もあっちゃいけないヤツだってコトくらい。でも俺には関係ないんだ俺はお二方が俺の側にいてくださればそれでいい…って京助? 悠助じゃないのアンタ」
緊那羅の言葉を止めて話していた慧喜が京助に聞いた
「コイツは京助なんだやな」
「悠助はまだ帰ってきてないんだやな」
ゼンゴが慧喜に言った
「悠助はもっと可愛い顔してるんだやな」
ゼンが言うとゴが頷いた
「…可愛い…ふぅん…可愛いんだ悠助」
慧喜が小さく呟いた

バス停の小さな掘建て小屋の中で悠助はしゃがんでボーっと外を見ていた
たまに通る車と人とカラス
近づいてくる足音を耳にすると迎えに来てくれたのかという期待が高まりそれが外れるとがっかりするのだけどどこか安心するそんな気持ちのまま悠助はかれこれ一時間そのバス停にいた
「やっぱり沙織ちゃんのほうがいいんだ…」
前ならこんな風に帰りが遅かったり家を飛び出したりしたら必ず京助や母ハルミ、3馬鹿が探し出してくれた
それなのに今回はいつもの倍待っているのに誰も来てくれない
「僕はもう…いらなくなったのかな」
掘建て小屋の隙間から入ってきて少し積もった雪で小さな雪玉を作るとそれを外に向かって放り投げた
バスン
「…?」
何かに雪球が当たって砕ける音がして悠助が顔を上げた

「…じゃあ俺と悠助どっちが可愛い?」
真顔でゼンゴに向かって慧喜が聞く
「悠助」
ゼンゴがハモって言った
「ふぅん…そう…じゃぁ尚更」
慧喜が京助達に背を向けて玄関から外に出た
「慧喜!」
緊那羅が裸足のまま慧喜を追いかけて外に出る
「サザエさんじゃないんだからよ;」
そばにあったサンダルを手に京助も緊那羅に続いて外に出た
慧喜が左手を上げるとさっきは天井にぶつかって消えた三又の大きな鈎が現れた
「悠助に何する気だっちゃ」
京助が沙織を抱いたままの緊那羅の足元にサンダルを置くと緊那羅がそれを履く
「さっき言った【時】なんて知ったこっちゃない…あの方達は俺のものなんだ」
三又の鈎を手にして慧喜がにっこり笑う
「俺以外のヤツに目を…興味を向けているなんて嫌なんだよ」
口元は笑っていても目は笑っていない慧喜を見て緊那羅が沙織を片手に抱き直す
「京助沙織ちゃん抱いてて欲しいっちゃ」
緊那羅が慧喜を睨んだまま京助に言った
「俺と戦う気? 宝珠もないのに?」
慧喜が笑いながら三又の鈎を緊那羅に向ける
沙織を京助に渡すと緊那羅の両手に武器笛が現れた
「私は京助と悠助を守るんだっちゃ」
一瞬にして摩訶不思議服になった緊那羅の髪の飾りが風に靡く
「ゼン等も栄野を守るんだやなッ!!」
その緊那羅の両脇にいつの間にか人型になったゼンゴが駆けつけた
「お前等…どうやって…鳥類いるのか?」
いつもなら迦楼羅の力を借りて (吸って?)人型になっているゼンゴに京助が聞く
「ヒマワリのところの宝珠の力をちょびっと借りたんだやな」
ゴが京助に言った
ゴが言う【ヒマワリ】とはおそらく…いや確実にあの【ヒマ子さん】の事だと思われる
ヒマ子さんの鉢の中には迦楼羅の宝珠が一つ埋まっていてそれがヒマ子さんを動かしている
「…非常食…」
京助がボソッと呟いた
「なんだか知らないけど邪魔するなら容赦しないよ?」
慧喜が三又の鈎を振るとフォンと風が起こりそれが緊那羅やゼンゴの元にも届いた
「来るっちゃよ二人とも」
緊那羅が構えるとゼンゴもいつもは滅多に見せない真顔で構えた
「ゴ! 簡易結界その三やるんだやな!!」
ゼンが京助の左側に立つ
「了解なんだやな!」
そしてゴは京助の右側に
「何だ…?;」
沙織を抱いたままゼンゴを交互に見て京助が言った