小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第五回・禄 】白い天使に懐かれた

INDEX|3ページ/11ページ|

次のページ前のページ
 

「おかしいなぁ…さっきまで…」
暗くもなく明るくもないそんな雰囲気の長い廊下で呟いた言葉が妙に響いた
「お二人ならあそこだよ」
その呟き声に対しての答えが聞えた
「ばか…」
「上の名前を抜かすな! 折角親切に答えてやったのにッ!!」
【ばか】というのが下の名前だという声の主が怒鳴る
「またあそこに?」
下の名前が【ばか】ではない声の主が下の名前が【ばか】という声の主に聞き返す
「そうついさっきね…」
下の名前が【ばか】という声の主が答えた
「…最近よくあそこに行かれるようになったよね…俺だけの方達のだったのに…よく話に出てくる悠助とかって俺より可愛いのかな」
下の名前が【ばか】ではない声の主がどこか悔しそうに言った
「誰がお前のだよお二人は…ってオイっ!!」
薄紫色の布が風を切って下の名前が【ばか】という声の主の前を通り過ぎて行った
「…本当 慧喜(えき)は嫉妬深いんだから困るよ」
下の名前が【ばか】という声の主が溜息混じりに呟いた

「……どっちに似てるんだ?」
そう言って京助と緊那羅と沙織を見比べた中島を京助がパンパース (30枚入り)でどついた
「可愛いねぇ女の子?」
蜜柑が沙織の頬を撫でて微笑んだ
「沙織っていうらしいっちゃ」
京助達はスーパーから出ようとして偶然にも中島姉弟に遭遇した
「やーん笑ったー可愛い~」
蜜柑が顔を思いっきり緩ませて声を上げる
「ミカ姉…;」
顔が緩みきっている蜜柑を見て中島が苦笑いを浮かべた
「…京助」
悠助が京助の上着の端を引っ張った
「どうした? 悠」
中島が悠助に声を掛けると悠助が俯いた後に首を振って
「何でもない…」
そう呟いて京助の上着から手を離した
「……そっか?」
中島が首をかしげて悠助の頭を撫でた
「早く帰らないと沙織ちゃん風邪ひいちゃうね~…またね?」
蜜柑が沙織の頬に軽く口付けてスーパーの中に入って行くと中島も蜜柑について中に入って行った
「……僕先に行くね」
悠助が小走りで駆け出した
「走ると転ぶぞ悠ー!」
京助が叫んだが悠助は振り向きもせずに信号が点滅している道路を渡って行った
「…悠助…?」
いつもと様子が違う悠助の姿を緊那羅は見えなくなるまで見ていた
「便所か?」
歩き出した京助にあわせて緊那羅も歩き出す
「…何だか嫌な予感がするっちゃ」
緊那羅が呟いた

「嫌な予感的中か?」
母ハルミが詩織のおしめを手際よく替えている横で緊那羅が苦笑いをしている
どうやら詩織が緊那羅に抱かれたまま大きい方をしたと思われる
「はい!! すっきりしましたね~」
おしめを替え終わった母ハルミが詩織を抱き上げて頬擦りした
「…悠は?」
先に帰るといって駆け出した悠助をまだ見かけていなかった京助が母ハルミに聞いた
「悠ちゃん? まだよ?」
詩織を座布団の上に寝かせて母ハルミが答えた
「まだ…って…」
緊那羅と京助が同時に壁にかけてある時計に目を向けた
「…いくらなんでも…もういていい時間だろ…」
京助と緊那羅が家に着いたのが今から約30分前
その間に悠助の帰って来たような気配はない
そして玄関に入った時悠助の靴はなかった
「…嫌な予感…的中ですか…?;」
京助が言うと緊那羅が頷いた

白く積もった道に足跡が続き転んだと思われる跡の傍からまた足跡が続いている
「…京助も緊ちゃんもハルミママも詩織ちゃんばっかり…」
何だか自分が要らないような気がして悠助の顔が歪む
「僕…」
悠助の眉毛が下がり視界がぼやけた
「…っ…」