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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・伍】スノー・スマイル

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ガコン

黒い車が横付けしてある【BOSS】と白く書かれた自動販売機からジョージアのブルーマウンテン (HOT)を取り出して振り返った柴田がタブを起そうとしていた手を止めた
「…あれ? 京助君…に南君に…」
「ちわーッ!」
「ども」
「こんにちは」
「じゃっ」
声を掛けた柴田に対し京助、阿部、本間、浜本が単発で挨拶して通り過ぎる
「…はぁ…;」
タブに手をかけたまま走り去る少年少女の後姿を眺めていた柴田の携帯が鳴った
「…もしもし? …あぁ若…ええ…今ですか?」
どうやら相手は坂田らしくジョージアを片手に話し始めた
「組長が? …はい…はい…わかりました。あ、それでですね…今…」
柴田が黒い車に乗り込み戸を閉めた

積もった雪に足を取られて転びそうになりながらも南は足を止めずに周りを見ながら走っている
「ねぇ…っありすちゃんて…どこの子?」
少し息の切れてきた阿部が京助の上着を掴んで走りながら聞く
「あー…んと夏くらいにさ南が病院で仲良くなった子で…悠よか少し下くらいで今は福島だか福岡だか京都だかにいるらしいんだけどさ」
京助が答える
「ふぅん…そうなんだ…」
阿部の長い睫毛に雪が積もって白くなっている
「そのありすちゃんて南にとって大事な子なんだね…名前からして可愛いし」
阿部が瞬きをすると積もっていた雪が落ちて黒い睫毛になった
「お前だって可愛いじゃん」
「な…ッ」
京助が笑って言うと阿部が目を大きくして足を止めた
「…阿部?」
本間が声を掛けると阿部がマフラーで顔を隠した
「痛てッ!; 冷てッ!!;」
後頭部に【痛い】と【冷たい】という感覚がいきなりした京助が振り返ると阿部が腕の中に雪玉を数個抱えてそれを京助めがけて投げつけようとしていた
「なぁッ!; 何してんだお前はッ!!;」
飛んできた雪玉を走りながら避けて京助が怒鳴る
「るっさいッ!! 馬鹿ッ!!」
それに負けじと少し巻き舌が入った大声で怒鳴りながら阿部が雪玉を投げつける
「う~ん…白い冬なのに青い春か…」
本間がそれを見てほくそ笑みながら呟いた

ボスッ

「あ」
京助が避けた雪球が南に直撃して南が滑って転んだ
「なー!!; ごめ…大丈夫南!?;」
雪玉を下に落としてコケた南に阿部が駆け寄る
「あ~ららこ~ら~ら~い~けないんだいけないんだ~♪ せぇ~んせいにいってやろ~♪」
浜本と京助が歌いながらコケた南を引っ張り起した
「ごめんー; 本当ごめん;」
阿部が南の服に付いた雪を払って謝る
「や…べ…つに…」
ゼーゼーという低音の音とヒューヒューという高音の音が入り混じった息をして【大丈夫】と南がヒラヒラと手を振った
「何してるの? こんなに雪つけて…雪合戦?」
ガサガサという音とどこかでい聞いた声に一同が体ごと声の方向に向く
「蜜柑さん…?」
【正月スーパー】の袋を手袋をはめた手で持った蜜柑が近づいて南の服の雪を払い始める
「いや…雪合戦じゃなく宝探しとかけっこの併用ってカンジですかこの場合」
京助が浜本に同意を求めて目を向けると浜本が頷いた
「…宝探し…とかけっこ?」
蜜柑が首をかしげる
「そ…だッ!! 蜜柑さんッ!! 封筒見なかった!? ピンクのッ!!」
だいぶ息が落ち着いた南がやたら大声で蜜柑に聞いた
「ふう…とう? …ごめんアタシ周り見てこなかったから…; それが宝探しなの?」
蜜柑が申し訳なさそうに言うと南が軽く頷いて周りを見る
歩道に一定間隔で植えられた街路樹には雪と赤いナナカマドの実しかなく道路もただ所々黒くなっている他は一面真っ白でどこにもピンクの物体は見えない
「…だ-------ッ!! もう!! ちっくしょー…!!」
いきなり南が大声を上げて走り出した
「ごめん蜜柑さん!;」
京助が走り出した南を追いかける
「見つけたら拾っておいてください」
本間が蜜柑に一礼をして走り出す
遠ざかる5人の背中を見送りながら
「…ゆーちゃんに言った方…いいよね」
小走りで蜜柑も駆け出した