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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・伍】スノー・スマイル

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「何だよ」
そんな南の顔を見て京助がきょとんとした顔をする
「お前ってたまにスッゲェクッサイ台詞言うよな」
南がそう言いながらカップを机に置いた
「はぁ?; 俺はただ思ったことまんま言ってるだけだしよ;」
「それがクッサイんだってば」
京助の言葉に南が笑いながら突っ込んだ
「お前はクサさの塊だなサンキュ」
南が何処となく照れくさそうに言った

「昼飯食ってきゃいいのに」
玄関で靴を履く京助に南が声を掛けた
「長居したから母さんにどやされるしよ; また今度食いに来る」
靴を履きつま先をトントンと鳴らして履き加減を調節しながら京助が言った
「食いに来るだけかよ」
玄関の戸に手をかけた京助を見送ろうと南も靴を履く
引き戸を開けるとバイクの音がして郵便配達員が南の家の前で止まった
「手紙きたぞ南」
京助が体を避けて南に言う
「あーハイハイっと」
京助が体を避けた間を南が通って外に出る
「ちわー…」
配達員に軽く挨拶をして手紙を受け…取ろうとした時
「あ」
南と京助そして配達員が同時に声を上げた
ピンクの封筒が配達員の手から離れ宙に舞い上がりそのまま落ちることなく飛んでいく
「あ~ぁ…飛んでいっちゃった」
南がのほほんと他人事のように飛んでいく手紙を見送る
「いいのかよ; 追わなくて」
京助が戸口から言った
「いいのいいのどうせ母さん宛てのダイレクトメールとかそのへんだろうし?」
「お前なぁ;」
京助が呆れ顔で戸を閉めた
「あれどう見てもダイレクトメールとかの封筒じゃなかったぞ?」
手渡された残りの郵便物を見ている南に京助が言う
「ピンクで可愛らしいウサギのシールついてたし」
京助の言葉に南が止まった
「…何?」
そしてゆっくりと京助に聞き返す
「何って?」
京助も聞き返した
「今お前なんつった?」
南が顔を近づけて再び京助に聞く
「いや…だからピンクで可愛らしいウサさんのシールついてるダイレクトメールなんて無いかと…;」
「郵便屋さんッ! アレ! アレ誰宛!!?」
京助を押しのけて3軒隣に郵便物を届けていた配達員に南が大声で聞く
「す…すいません; 名前まではちょっと…;」
配達員の言葉がまだ続いてるにもかかわらず手に持っていた手紙類をその場に放り投げて南が走り出した
「おい! 南!?;」
放り投げられた手紙を拾って郵便受けに入れた後京助も南の後を追いかける
走り行く二人の少年の後姿を配達員が黙って見送っていた
ジャクジャクと音を立てて半分濡れた雪を後ろに蹴り上げて南が周りをキョロキョロ何かを探しながら走る
その後ろには京助
「こっちに飛んできたよな!? な!?」
南が走りながら振り返り京助に聞く
「あ…あぁ」
京助も走りながら応えた
行き交う人は何事かと二人の少年の走りを見ている
「なぁ…探してるのってアノピンクの封筒だろ? 飛んでいったヤツ」
少し速度を上げて南に並んだ京助が言う
「そ…うだよ! アレたぶんありすからの…っ;」
息一つ切れてない京助に対しもはや限界が近しい南が苦しそうにでも走るのはやめないままで言った
「ありすって…あの入院してた?」
京助が思い出して言うと南が頷いた